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第37章

七沢聡は何の反応も示さず、無表情のまま宴会場へと足を踏み入れた。

石田陽介は七沢聡の去っていく後ろ姿を見つめ、心の中に何故か一筋の復讐の快感が湧き上がってきた。そして不安げに岡崎愛乃に尋ねた。

「七沢社長、見てたかな?」

岡崎愛乃は目の前の、自分がどれほど大きな問題を引き起こしたか気づいていない石田陽介を見て、胸が締め付けられる思いだった。

七沢聡が自分に怒りをぶつけてくるならまだいい。だが石田陽介は鷲羽グループで働いているのだ。七沢聡が報復しようと思えば、いくらでも手段はある。そうなったら取り返しがつかなくなる。

もう決着をつける時だ、と岡崎愛乃は思い、気持ちを引き締めて石田陽介...