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第30章

岡崎愛乃はそれを思い出して白目をむいた。七沢聡がいなければ、金田理恵が急に頭がおかしくなって私を困らせるはずがないのに。

しかし考えてみると、七沢聡に言っても信じてもらえないだろうと思い、結局何も言わなかった。七沢聡が聞いても答えなかった。

そのとき、同僚の声が岡崎愛乃の思考を中断させた。

「私は岡崎秘書がそんな人だとは思いません。きっと冤罪を被せられたんですよ」

「そうですよね、岡崎秘書?」

言い終わると、岡崎愛乃に媚びるように笑いかけた。

オフィスの人たちはバカではない。七沢社長が岡崎愛乃に甘い態度をとり、高橋秘書が明らかに後ろめたそうにしているのを見れば、真相は容易に推測で...