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第26章

七沢聡が最初に口を開いた。「酒で憂さを晴らそうとしても、余計に辛くなるだけだ。この恋が辛すぎるなら、手放した方がいい。お互いのためにもな」

松本謙は同意して頷いた。

後藤近司はそれを聞いて一瞬固まった後、笑い出し、七沢聡を指差した。「手放せだと?お前が俺に手放せだって?」

「七沢聡、お前こそ俺にそんなこと言える立場じゃないだろう」

「俺に手放せと言うが、お前は手放したのか?」

「最後には人がいなくなってもお前は手放さなかっただろう!」

七沢聡はその言葉を聞き、目の光が暗くなり、黙り込んだ。

松本謙はその様子を見て、後藤近司が七沢聡の辛い過去に触れたことを察し、急いで諭した。「近...