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第19章

恵子さんは思い出したように首を振り、目に心配の色が浮かんだ。「古い持病なんです。冬になると寒さで具合が悪くなるんですよ」

岡崎愛乃は何かを思いついたように、バッグから何かを探し始め、名刺を取り出した。「私の親友のお父さんは整形外科が専門で、とても有名なんです。いつか時間があったら、岩口さんを連れて行ってみてください。私から一言言っておきますから」

「お名前は?」恵子さんが尋ねた。「若様もこれまで有名な医者をたくさん訪ねましたけど、このN市で名の通った医者はほとんど見てきましたよ」

「彦田という姓で...」

岡崎愛乃の言葉が終わらないうちに、明石アキラが階段を降りてきて言葉を遮った。

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