取引された花嫁

第181章

小川愛は乾いた笑い声を二つ三つ漏らして、何と言えばいいのか分からなかった。

下村理央はそれ以上何も言わず、立ち去った。

受付の女の子は下村社長が去っていくのを見て、口元を押さえながら小声で「なんか下村社長、ご機嫌斜めな感じしませんでした？」と言った。

「そうかな？」小川愛は不安げに振り返り、下村理央の後ろ姿をもう一度見やった。

下村理央は誰もいない一室のオフィスに入ると、携帯を取り出して後藤近司に電話をかけた。

「どうしたの？」後藤近司は電話に出ると、軽薄な調子で尋ねた。

下村理央は「本当に昼に小川愛と食事したの？」と言った。

「え？あなたが行けって言ったんじゃないの？なのに今...