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第172章

柳原詩音が言葉を聞いて一瞬固まり、信じられないという様子で尋ねた。「今、何て?」

七沢聡はもう一度繰り返した。「お前と近司の席を替えろと言ってるんだ。聞こえなかったのか?」

柳原詩音は後藤近司をちらりと見たが、動きたくない様子で言った。「私が真ん中に座っていても、あなたたちのお酒や会話の邪魔になってないでしょう?」

「余計な口を挟むな」七沢聡は冷たく言い放った。

岡崎愛乃は傍らでそれを見ながら、柳原詩音の立場が気まずくなるのを感じた。しかし、七沢聡がこうして露骨に自分を守ってくれることに、心の中では喜びを隠せなかった。

後藤近司が口を開いた。「ほら、詩音、私に顔を立ててくれよ。席を...