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第15章

「もういいよ、お疲れさま」

そう言って、七沢聡は恵子さんに手を振り、退出するよう促した。

食事を終えた七沢聡は、いつものように書斎へ向かうことなく、リビングルームのソファに座り、何かを待っているようだった。

しかし、外からは一向に物音がせず、七沢聡は思考に沈んだ。午後、会社の出口で目撃した光景が頭をよぎる。

岡崎愛乃が会社の男性社員と楽しげに話し、親密な様子を見せていた。

七沢聡はその場面をすべて目の当たりにし、車内の空気は非常に重苦しいものとなっていた。

「あの男、どこの部署だ?」

長い沈黙の後、七沢聡は尋ねた。

明石アキラは石田陽介の社員証を見たが、距離があり、はっきりと...