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第57章 天敵に出会った

安藤美咲は説明したくなかった。安藤悟に対して完全に失望していたのだ。

彼女は彼の娘でいたくなかった。安藤家の娘ではないと言われるのは、むしろ願ったりかなったりだった。

だから説明することなど何もない。おじいさんさえも彼女がもはや安藤家の娘ではないことを黙認したのだから、彼女に何を説明する必要があるというのだろう。

おばあさんは安藤美咲の小さな手をぎゅっと握り、こんなに美しく、こんなに繊細な子が良い生まれではないのは残念だと思った。

でも大丈夫、裕也の心を射止めれば、彼女はいずれ名門の一員になるのだから。

安藤花子は背筋を伸ばした。どうせ今や自分が安藤家の長女で、安藤美咲は使用人の娘...