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第37章 彼女は疲れた

呆然としていた安藤美咲が、急に我に返った。「え……」

皿三枚と茶碗二つがそんなに高価なの?

4万?強盗じゃない?

高橋裕也は破片を指さした。「青花磁器だ。模様の金線は純金だぞ。4万でも安い方だ」

安藤美咲は破片を拾い集めたい衝動に駆られた。金線を剥がせば売れるんじゃないかしら?

高橋裕也は彼女が手を伸ばそうとするのを見て、眉をひそめた。

「箒で掃け。手で拾うな」

安藤美咲は仕方なく手を引っ込めた。要求多すぎるわ。どう片付けるかは私の勝手じゃない?

だが、その男は去る気配もなく、ずっと彼女を見つめていた。

高橋裕也は見ていないと、この女は絶...