光を失う前に愛は消えゆく

第36章 故郷に戻る

「颂さん、何をしているんですか？」彼女は急いで物を置き、慎重に彼の腕を抱きしめた。「あなたのそばに誰もいないなんて、心配です」

「お前には関係ない」小崎颂は目を閉じ、それ以上何も言いたくなかった。

田村菫は望みがないことを悟った。

彼女は立ち上がろうとしたが、ハイヒールが厚いカーペットに引っかかり、危うく倒れそうになった。

「颂さん、どうして？」彼女の声は弱々しく、涙が溢れ出した。「どうしてこんなことをするの？私を利用しているだけなの？まだあの女のことを考えているの？彼女はもうあなたを愛していないのに、他の男とばかり付き合っているのに……」

「出て行けと言っただろう」小崎颂の忍耐は...