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第60章

葉村おばあさんは支えきれなくなり、執事の手を借りて立ち上がった。

葉村尚子も立ち上がり、おばあさんの右手を支えた。「おばあちゃん、お部屋までお連れします」

葉村おばあさんは頷き、祖孫二人は奥の休憩室へと入っていった。

宴会場の外はまだ賑やかな雰囲気が続いていた。

藤原信也が初めて葉村家を訪れたことで、葉村家の人々は皆、葉村家と藤原家の婚姻話は決まったも同然だと思っていた。

「信也、最近新しい映画が公開されてるわ。午後、雪子と映画でも見に行ったら?」藤井美智子は目を細めて笑いながら言った。「映画の後は街をぶらぶらして、二人でキャンドルディナーなんて素敵じゃない」

葉村雪子は恥ずかし...