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第59章

葉村尚子は淡々と葉村グループの五十パーセントの株式の由来と行方について説明し終えた。

言い終わると、彼女は静かに言った。「藤原さんから見て、母が私に残した株を取り戻すのは筋が通っていますか?」

「筋が通っていない」

藤原信也はさらりと言い出した。

葉村雪子の顔に狂喜の色が浮かんだ。

この男は、やはり彼女の立場に立って考えてくれている!

藤原信也のこの一言があれば、株式譲渡契約書にサインを拒む理由ができる。おばあさんでさえ彼女を責めることはできないだろう。

葉村尚子の表情が凍りついた。

やはり、この男を信じるべきではなかった。まったく無駄口だった...