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第57章

葉村尚子は唇を僅かに上げた。

今日、株式の半分を取り戻せたなら、無駄足にはならないだろう。

残りの半分についても、きっと近いうちに無事に取り戻せるはずだ。

彼女は軽く笑った。「私と雪子は実の姉妹ですから、お礼なんて不要ですよ」

葉村おばあさんは体調が優れず、宴席に出てくるだけでも精一杯だった。

今、四年間姿を消していた長女の孫に再会し、おばあさんの胸の張り詰めた糸が切れ、体力が一気に崩れ落ちた。

「執事、すぐに株式譲渡の契約書を用意しなさい。今すぐ署名するわ」

葉村おばあさんは一度咳をし、冷たい声で命じた。

彼女の体調は芳しくなく、いつ息を引き取ってもおかしくない状態だった。...