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第23章

葉村尚子はスカートの裾を軽く持ち上げた。

シャンパンが裾から滴り落ち、床に染みた。

深緑色のドレスには一滴の酒の染みも残らなかった。

「妬む人があまりにも多くて、裾を錦緞で作るしかなかったの。どんなお酒もしみ込まないわ」葉村尚子は唇を上げ、「もちろん、姉さんが私を妬むわけないわ、きっと不注意だったのね」

佐藤希江子の顔は青ざめた。

なんてドレスなの、お酒がつかないなんて?

「姉さん、これ以上騒ぐなら、松尾家に帰ってくれ!」

佐藤洋平も化粧室にいて、この一部始終を目撃していた。目の見える人なら誰でも、これがすべて佐藤希江子の故意だとわかるはずだ。

佐藤洋平は姉がなぜこんな愚かな...