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第12章

応接室のドア、誰かに押し開かれた。

ピンクと白のスーツを着た女性が、ゆっくりと入ってきた。

女性は真っ黒な髪を後ろで結い上げ、薄化粧を施した顔立ちは目元が切れ長で、唇は紅く染まっていた。

「佐藤グループの面々は本当に偉くなったものね、協力パートナーを三十分近くも待たせるなんて……」

葉村雪子は振り向き、冷ややかに皮肉を言いかけたが、突然言葉を止めた。

彼女は入ってきた女性を見つめ、その顔に視線を固定した。

この女性の眉や目、そして顔の輪郭線が、葉村尚子とまったく同じだった。

しかし!

葉村尚子は四年前に死んだはずでは?

火事で死んだのではなく、川に身を投げて自殺したのだ!

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