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第88章

林田ククが目を覚ますと、消毒薬の匂いが鼻をつき、真っ白な天井を見つめたまま二秒ほど呆然としてから、自分が病院にいることに気づいた。

彼女が手を伸ばして額に触れると、昨夜ぶつけた傷口に当たり、思わず「痛っ」と声を漏らした。

ベッドの端で居眠りしていた朝日明美はその声を聞いて、ハッと目を見開いた。顔を上げると林田ククが目覚めているのを見て、大きく息をついた。

彼女は林田ククを強く抱きしめ、泣きながら叫んだ。

「ククちゃん、心配しちゃったよ。大丈夫?どこか具合悪いところある?」

林田ククも同じように手を伸ばして彼女を抱きしめ、背中をポンポンと叩きながら安心させるように言った。

「大丈夫...