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第195章

藤原深が病室のドアを開けると、五、六歳ほどの巻き毛の女の子が駆け寄ってきて、彼の足にしがみついた。

女の子は顔を上げて彼を見つめ、キラキラと輝く大きな瞳をパチパチさせながら、弾むような声で言った。

「パパ、来てくれたの!会いたかった!」

藤原深は二秒ほど黙り込んでから、しゃがんで女の子を抱き上げ、病室の中へ歩いていった。

ソファに腰掛けると、女の子を自分の膝の上に座らせ、すぐにその丸くてぷっくりした頬をつまんだ。

「何度言えばわかるんだ、むやみに人をパパなんて呼ぶな」

女の子は不満そうにぶつぶつと言った。

「でも、パパって呼びたいんだもん……」

「ん?今なんて言った?」藤原深...