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第122章

林田ククは最速で南苑別荘に戻ると、玄関に入るなり田中申と執事が憂いの表情で客間を行ったり来たりしているのが目に入った。

彼女は靴を脱ぎながら尋ねた。

「藤原深は?」

田中申は慌てて駆け寄った。

「藤原社長は部屋に閉じ込めて、私たちを入れてくれないんです」

林田ククは表情を曇らせ、執事に鍵を持ってくるよう指示し、田中申が買ってきた薬を手に取って階段を上った。

鍵を受け取ると、林田ククは二人に言った。

「私が入るから大丈夫。二人はまず休んでて。もし薬を飲んでも熱が下がらなかったら、病院に連れて行くのを手伝ってもらうわ」

二人はうなずき、林田ククが階段を上がっていくのを見送った。

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