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第10章 彼女を運んで来て

朝食の時、林田ククは藤原深に一言も話しかけず、目も合わせなかった。

彼女が藤原お爺さんと世間話をしている時、突然横から精巧な小箱が差し出された。

藤原お爺さんは藤原深が機嫌を取り始めたことを察し、「教えがいがある」という表情で、二人のために自然と場を譲った。

林田ククは一瞬戸惑い、冷たく言った。「何これ?」

藤原深の口調も硬かった。「開けてみれば分かるだろう」

林田ククが箱を開け、中に輝く黒曜ダイヤのネックレスを見た時、彼女は驚愕した。これは先日彼女がオークションのカタログで見たものではないか?

あの日、彼女はアシスタントが持ってきた書類の中にオークションの招待状を見つけ、出品商...