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第053章
彼は好奇心を抑えきれず、時々バックミラーから後部座席の二人を覗き見ていた。水原玲は終始窓の外を眺めたまま、一言も発しなかった。
石川秀樹は時折彼女を見やるものの、毎回彼女の沈黙だけが返ってくる。石川秀樹自身もさらに冷たい雰囲気を漂わせていた。
二人とも、互いに負けじと冷たさを醸し出している。
斎藤恭介は思わず身震いした。そのせいか、対向車線の弧を描く山道から突然車が曲がってきたことにほとんど気づかず、反射的にブレーキを強く踏み込んだ。
後部座席の水原玲は心の準備ができておらず、体が急に前のめりになった。前の座席の背もたれに激突しそうになったその瞬間、石川秀樹が素早く彼女を腕で抱き留め...