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第15章

翌日の午前、北区の高級別荘地で、タクシーが大きな木の下の日陰にゆっくりと停車した。

平凡な顔立ちの女性が車から降りてきた。この人物は変装した江口ココだった。

彼女は記憶を頼りに江口家を見つけ、幼少期に住んでいたこの別荘を見つめた。今ではすっかり見知らぬ場所になっていた。

彼女が今日来たのはただ一つの目的のため……

江口ココは瞳の冷たさを隠し、インターホンを押すと、すぐに家政婦が出てきた。

家政婦は玄関先の人物を見て、少し驚いた様子で「どうしてきたの?今日は休みじゃなかった?」

「あ……わたし、なんて物忘れの激しい人間なんでしょう、すっかり忘れてました」江口ココは声まで変えてしまい...