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第23章 対局

部屋の中は静かだった。

佐藤衡は薄い唇を引き締め、冷たい声で尋ねた。「見終わった?」

星野星は真面目な様子で評価した。「スタイルいいじゃない」

佐藤衡は黙っていた。彼が顔を背けると、耳たぶの下がわずかに赤くなり、少し苛立ちを含んだ声で言った。「俺に会いに来たのは、そのためか?」

「忘れたの?」

「何を?」

「将棋」

星野星はドア枠に体を寄せ、窓の外の夜空に視線を落とした。「もう指したくないなら、失礼するわ」

立ち去ろうとすると、背後から佐藤衡の焦った声が聞こえた。

「待て!」

星野星は足を止めた。背後からごそごそと音がして、しばらく静かになった後、再び足音が聞こえた。

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