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第32章 あなたの心にはまだ彼がいるの？

道中の空気はひどく重く、車内全体が氷の棺のように冷たく感じられた。車内の空気はまるで凝固したかのようで、息苦しさを覚えるほどだった。車が依然として薄田家の本邸へと向かっているのを見て、篠原心海は身を乗り出し、前の運転手に声をかけた。「第七アパートまで送ってください」

運転していたのは薄田家の専属ドライバーだった。彼はバックミラー越しに薄田蒼の様子を窺ったが、薄田蒼が頷く様子はなく、運転手は独断で判断する勇気はなかった。彼は薄田蒼の気性をよく知っていた。一度でも彼の意向に背けば、深刻な結果を招きかねない。そのため、急いで車を薄田家の本邸へと走らせた。

篠原心海はため息をついた。そのため息に...