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第22章

若野唯は手元が不安定で、黒い招待状を床に落としてしまった。二度拾おうとしたが、うまく拾えなかった。

彼女は他人がいる場で弱々しさを演じて同情を引くのが得意だったが、篠原心海のように直接的に人を攻撃するのは得意ではなかった。

しかし今、鈴木さんが明らかに彼女の味方をしてくれそうになく、篠原心海にどう反撃すればいいのかわからなかった。腹に火が溜まっていたが、何も言葉が出てこなかった。

傍らの鈴木さんは自分がここにいるべきではないと感じ、ただ気まずそうに自分のひげを撫でるしかなかった。

若野唯はようやく招待状を拾い上げ、真っ赤な顔で部屋を出ようとしたが、ドアを出る前に本当の目的を思い出した...