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第14章

翌朝早く、一晩中悪夢を見続けた篠原心海は早々に家を出て、市役所の前に着いたのはまだ8時だった。

日陰で少し仮眠を取ろうとしていたところ、突然森さんから電話がかかってきた。

森さんは薄田家本家で薄田蒼の母、薄田理子の世話をしている人だ。この時間に電話をしてくるということは、何かあったのだろうか。

篠原心海は自分の離婚に何か支障が出るのは望んでいなかったが、森さんが4、5回も電話をかけてきたため、薄田理子に何かあったのではと心配になり、最終的に電話に出ることにした。

電話に出るなり、向こう側から森さんの慌てた声が聞こえてきた。「若奥様、すぐ病院に来ていただけませんか。奥様が倒れられて手術...