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第59章

「あぁ、痛い痛い~~」川崎玲子は小さな手をあおいで必死に扇いだ。

くそっ、藤原夜のやつ、南條隼人に唇に唐辛子水を塗らせるなんて!

「教訓は分かったかな?」突然、背後から意地悪な問いかけが聞こえた。

川崎玲子が振り向くと、藤原夜が背後に立っていた。相変わらず高慢ちきで完璧無欠、端正な容姿を保っているが、今の彼女にとっては最も嫌な人物だった!

彼女は不機嫌そうに一瞥すると、一言も発せず歩き出した。

本当に怒っているのか?

藤原夜は右に一歩踏み出し、その長身で彼女の行く手を遮った。

「こんな態度、怒ってるのか?」

「ふん!」

「怒ってなんかいないわ。あなたのことについて何も言うべ...