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第74章 雨が降って動けなくなった

桜島ナナは息を詰めながらドアを開けて中に入った。

しかし彼女が入るやいなや、ドアが外側から閉められた。

閉まる音を聞いて、彼女の心が震え、思わずドアの方を振り返った。

「ねえ、おばあさんが早く曾孫を抱けるように頑張るのよ」

おばあさんの声がまだ外から聞こえてきた。

桜島ナナはますます居たたまれなくなった。

「シャワーでも浴びてきたら?雨だから帰れないよ」

ソファから淡々とした声が聞こえた。

彼女はそこで初めて彼がソファにいることに気がついた。

ここに二年以上も住んでいるのに、今は心臓が激しく鳴っていた。

今夜もまた二人でここに泊まる...