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第66章 佐藤遥の前で彼女の手を握る

「ああ」

藤原夜の眉目には人を寄せ付けない雰囲気が漂っていた。

「朝食を済ませたところなんだ。暇だし、会社まで一緒に行こうか」

「家で休んでいればいい。オフィスはまだお前に向いていない」

藤原夜はそう言うと視線を変え、突然桜島ナナの手首を掴んだ。

桜島ナナはただでさえ緊張していたのに、急に手を握られてドキンと心臓が鳴り、指まで絡められて心が熱くなった。

何をしているの?

佐藤遥の前で彼女の手を握るなんて。

「行こう」

藤原夜は彼女を連れて外へ向かった。

佐藤遥は魂が抜けたように振り返り、二人の繋がれた手を見つめ、胸が痛んだ。

桜島ナナはさらに困惑し...