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第62章 なぜ桜島秘書だけを残したのか

「家族」

藤原夜は彼女が「妹」と言い終える前に、突然口を開いた。

普段、二人とも相手の話を遮るような人間ではなかった。

幼い頃からの躾けで、相手が話し終わるまで待つべきだと教わっていた。どんなに急いでいても。

佐藤遥は彼の方を見た。

佐藤遥には「家族」と「妹」にどんな違いがあるのか分からなかった。

でも彼がそう言うなら……

彼の表情は冷たく沈み、彼女は自分がこれ以上話を続けられないことを悟り、黙った。

次にお茶を運んだのは青木絵里だった。

林田社長はまず「桜島秘書はどこですか？」と尋ねた。

「ああ、桜島秘書は下の階に行っていて、少し経ってからでないと戻...