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第61章 一緒に一杯のコーヒーを飲んだ

「藤原社長は中にいます」

桜島ナナはそれ以上何も言わず、ただ微笑みながらそう告げた。

この時、他人彼見れば彼女はただの秘書であり、佐藤遥は恋人兼婚約者であった。

彼女に何が言えるというのだろう?

「ありがとう」

佐藤遥はそう言いながら、手に持っていたコーヒーを軽く持ち上げた。「お疲れ様、お二人にコーヒーを持ってきたわ。とても美味しいから、熱いうちに飲んでね」

佐藤遥はコーヒーを彼女のデスクに置いた。

桜島ナナは苦笑いしながらも感謝の意を示した。

「ありがとうございます、佐藤さん」

アシスタントの青木絵里もキーボードを打つのを止め、すぐに顔を上げてお礼を言っ...