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第60章 彼は言った、これが最後だ

藤原夜が突然口を開いた。

彼女は出て行く必要はない。

彼は素早く佐藤遥の首に絡みついた手を解いた。

しかし佐藤遥はその勢いのまま彼の隣に座り、先に「引き止める」ように声をかけた。「ナナ、一緒に食べましょうよ。あなたの朝食もまだ食べ終わってないでしょう。もったいないわよ」

佐藤遥が指したのは彼女の皿に残っている饅頭の切れ端だった。

「油っこくて食べられないわ。お邪魔しないわ」

桜島ナナはその饅頭の切れ端を一瞥すると、すぐに立ち去った。

藤原夜は彼女の皿に残った饅頭を見つめ、心の中で思った。やっぱりな。

彼の前では美味しいと言っておきながら、実は彼女も自分と同じように油っこいと感...