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第43章 彼は地面が冷たいと言った

桜島ナナは一瞬戸惑ったが、すぐにドアノブを探す手を伸ばした。やっと見つけて、開けた。

藤原夜が彼女を抱えて中に入った時、思わず笑みがこぼれた。

「桜島秘書?」

ドアが内側から閉められる瞬間、アシスタントが小声で呟いた。

あの人、確かに桜島秘書に似ているけど……

桜島秘書がパジャマとスリッパ姿で、それに……

オフィスに入った瞬間、彼女のスリッパがついに落ちた。彼女も注意を促した。「早く離して」

ここで大声を出す勇気はなかった。外の人に聞こえるのが怖かったが、さっきアシスタントに二人の姿を見られてしまって……

頭の中で「ゴーン」という大きな音が鳴り響いた。もう終わりだと思った。

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