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第36章 合法な夫

藤原夜は突然目を開き、彼女をじっと見つめていた。その眼差しは深く複雑だったが、何も語らなかった。床に敷かれた毛布には彼の体温と微かな香りが残っており、彼女をほんの少し恍惚とさせた。

「寒いんだ」彼の声は低く、少しかすれていた。

桜島ナナは慎重に毛布を彼の上にかけたが、毛布は少し乱れており、整えようとしたものの、それ以上続ける勇気はなかった。

「ナナ、体の調子がおかしい気がする。熱があるみたいだ」

桜島ナナは藤原夜の言葉を聞いて、すぐに緊張した様子になった。彼女は急いで薬箱を探り、早く体温計を見つけて藤原夜の熱を測りたいと思った。

「動かないで、体温計を探してくるわ」彼女は焦りながら...