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第28章 一緒に出勤する

桜島ナナが再び顔を上げると、藤原夜が彼女のスマホを手に持っているのを見て驚いた。おそらく昨夜バスルームに置き忘れてしまったものだろう。彼女はスマホを受け取って開いてみると、画面には長い未応答着信とメッセージの通知が表示されていた。そのほとんどが田中舟からのもので、最新のメッセージを見ると、田中舟はつい先ほども彼女に連絡を取ろうとしていたようだった。

桜島ナナの胸に湧いていたわずかな罪悪感は、これらの不在着信を見た瞬間に消え去った。彼女は佐藤遥の電話に出なかったし、藤原夜も田中舟からの電話を知らせてくれなかった。彼女は心の中で、お互い様だと思った。洗面を済ませると、藤原夜は朝食を食べるために...