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第199章 彼は言った、ナナ、君が欲しい

彼の口づけは優しく、そして……

彼女はその感覚をどう表現すればいいのか分からなかった。

まるで彼が飴を舐めているような感触だった。

そして彼女の体に冷気が走った。

暗闇では何も見えないが、触覚と嗅覚だけが異常に敏感になっていた。

彼は洗面を済ませた後、酒の匂いは消えていたが、ミントの香りがやや強かった。

あまりにも強すぎて、頭がクラクラするほどだった。

自分のパジャマが捲り上げられるのを感じた瞬間、腕の産毛が逆立ち、すぐに彼の手を掴んだ。「藤原夜」

かつて、ある男性の名前を呼ぶだけで男を天にも昇る気分にさせる女性がいると聞いたことがあるが、彼はそれを信じなかった。

彼は今夜...