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第182章 目を上げると、入口に立っている男が見えた

病院の高級病室の外。

夏川奈央は彼の行く手を阻んだ。「藤原夜、あなたは行けないわ」

「どけ」

藤原夜は淡々と言った。

「私の娘のお腹に宿っているのはあなたの子供よ。どうしてこんな無責任なことができるの?」

「俺の子なら当然責任を取る」

藤原夜はそう言い放つと、長い脚で決然と立ち去った。

夏川奈央はその場に立ち尽くした。

何が「俺の子なら責任を取る」だというの?

彼女が病室の中を振り返ると、佐藤遥の涙はすでに枕を濡らしていた。

藤原夜が車でそのマンションに戻った時、家には誰も彼にドアを開けてくれる人はいなかった。

仕方なく電話をかけたが、携帯は誰も出ず、中からも物音がしな...