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第176章 彼女は、この男が自分を誘惑していると思った

「だめ」

彼女の手は彼の手を握りしめていた。

彼女はもう彼を見る勇気がなかった。

しかし、これは自分が望んでいることではないと、はっきりとわかっていた。

「お前は俺の妻だ」

「でも外の人は皆、あなたにもうすぐ結婚する高嶺の花がいるって知ってるじゃない。誰も私があなたの妻だなんて知らないわ」

「明日、お前が直接メールを出せば、会社全体がこのことを知ることになる」

「嫌よ」

「ん?」

藤原夜は思わず彼女の口角にキスし、そして彼女の色気ある顎のラインに沿ってキスを落とし、さらに彼女の耳元で優しく囁いた。

桜島ナナの耳たぶはすぐに赤く染まった。

彼女は、こ...