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第174章 彼が尋ねた、まだ痛むか?

桜島ナナが唇を奪われた瞬間、頭の中が真っ白になった。

彼がなぜ戻ってきたのか、しかも痛み止めの薬を持って来てくれたのか、彼女には分からなかった。

足首に広がるしびれるような感覚、唇には清々しい酒の香り。思わず後ずさりしようとしたが、男性の手のひらが彼女の足首を余裕で掴み、一瞬の躊躇もなく彼女をソファへと押し倒した。

酒瓶が白いカーペットの上で転がり、彼のキスはさらに強引さを増した。まるで彼女の息をすべて奪い取ろうとするかのように。

藤原夜自身も、なぜ突然彼女にキスをしたのか説明できなかった。

自制するよう自分に言い聞かせていたはずなのに。

彼はゆっくりと身...