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第162章 彼女に流産させるわけにはいかない

桜島ナナは恥ずかしそうに、頭を下げて急いで出て行った。

藤原夜は彼女が出て行くのを見てから、悠々とエレベーターのドアから手を離し、閉まるのを待った。

社長専用エレベーターの中で、桜島ナナはまだ端に立っていた。

藤原夜はいつものように両手を腰に当て、ゆっくりと長い脚を動かして彼女の前に立った。

彼はいつもそう、余裕たっぷりだった。

だが彼女は目を上げることすらできず、息さえ荒くすることを恐れていた。

彼女はただ緊張しながらそこに立ち、自分をできるだけ小さく、さらに小さく見せようとしていた。

彼に気づかれないほど小さくなれたらと願った。

「昨夜送った酒の味はどうだった?」

「…...