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第157章 この指輪をつけてください

スタッフが案内しながら、彼らを中へと招き入れ、VIPサービスエリアへと導いた。

桜島ナナは指輪という言葉を聞いた時、自分の耳を疑ったが、スタッフが本当にその二つの指輪を持ってきた瞬間、彼女は驚きで固まってしまった。

藤原夜の表情はずっと厳かで、外では笑顔を見せることはほとんどなかった。

彼は身を乗り出し、女性用の指輪を取り出すと、手を差し出した。「手を貸して」

桜島ナナは彼の手のひらを不思議そうに見つめ、そして彼の顔を見たが、言葉も出ず、手も差し出せなかった。

彼が彼女に指輪をくれるなんて。

「これは結婚指輪だ。とっくにあるべきものだ」

藤原夜は彼女...