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第15章 飯を奪う

遥子供を身籠ったため、藤原夜はその子に藤原家の身分を与えるべきだと考え、桜島ナナに離婚を切り出した。彼は桜島ナナが泣き叫ぶだろうと予想し、もし彼女が拒否すれば即座に離婚の考えを諦めるつもりでいた。しかし、桜島ナナは書類にサインするまで終始静かなままだった。

藤原夜は桜島ナナがずっとこういう性格だと思っていたが、他人の前で見せる、彼の知らなかった一面を目にして、心の中で非常にイライラしていた。

「夜、もしかしてナナのこと好きになったんじゃないの?」

好き?彼が好きなのは明らかに遥であり、決して桜島ナナではなかった。

そのとき、佐藤遥から電話がかかってきたが、藤原夜は珍しくこの電話に出た...