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第146章 拒絶

その日の昼、仕事を終えた彼女は御苑に戻り、荷物を運び出した。

外に向かう途中、休みで家にいた青木圭が彼女が荷物を引きずって出て行くのを見かけ、不思議に思って藤原夜に電話をかけた。「出張に行くの?」

「いや、どうした?」

「あなたの奥さんが今、荷物を持って出て行ったよ」

「止めろ」

「もう間に合わないだろう、藤原舟の車に乗ったから」

——

桜島ナナは休みを取り、午後には自分の服などを全て整理し、それから藤原舟にお茶を出した。もちろん、お茶はついでで、感謝の気持ちを表すとともに、彼女は藤原舟とソファに座りながらお茶を手に、小さな声で言った。「舟、ちょっと話があるの」

「どうぞ」

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