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第142章 とても甘くて、甘すぎて息が詰まる

「果物が届いたよ、上がったら出てきて一緒に食べよう」

彼はそっけなく一言だけ言うと、またドアを閉めた。

それから……

世界が突然静まり返った。

桜島ナナは長い間呆然とそこに立ち尽くし、両手で不自然に自分の肩を抱いていた。

藤原夜も外で黙ったまま立ち尽くし、長い間まったく動かなかった。

確かに彼は彼女のベッドに居座ったこともあった。

確かに彼は彼女を抱きしめて眠ったこともあった。

だけど……

さっきのあの出来事は、彼から思考能力を奪い、彼をぼんやりと立ち尽くす馬鹿のようにしてしまった。

藤原夜はようやく長い脚を動かし、躊躇いながらベッドの脇を通り過ぎ、ソ...