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第121章 桜島ナナは藤原家の上下が認めた嫁

明らかに彼は海外にいた時、佐藤遥に名分を与えると約束していたのに。

佐藤遥はそこまで聞いて、思わず中村祥の方を見やった。

中村祥は俯いたまま彼女のために何も言わず、ただ身を乗り出してグラスを手に取り、一口酒を飲んだ。

だが酒を飲むと、脳裏に場違いな光景が浮かんでくるので、またグラスを置いた。

「圭、彼に私のために何か言ってくれない?私たちはもう大人なんだから、優柔不断にしていられないわ。彼が私と結婚してくれないなら、堕ろすしかないけど、私は絶対に堕ろしたくないの。圭、一緒に育った仲じゃない?お願い、この頼みを聞いてくれない?」

佐藤遥は再び青木圭に頼み込んだ。

彼らの中で、青木圭...