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第12章 嫉妬する

「まぁまぁ、御苑のセキュリティはこんなに厳重だから、問題ないわよ」

桜島ナナは田中舟に眼鏡と帽子、そしてカツラをかぶせ、誰にも気づかれないことを確認してから、やっと御苑を車で出発した。

田中舟はいつの間にか、海辺で人通りが少ないのに雰囲気抜群の酒場を見つけていた。

桜島ナナは数杯のお酒が入ると、さっきまでの憂鬱な気分がすっかり消え去り、代わりに田中舟の方が不機嫌になり始めた。

「ちっ、尾行されてるな。マジでムカつく」

桜島ナナは返事をしなかった。有名人は本当に大変だ。外出するだけでもヒヤヒヤしなければならないのだから。

飲み終わった二人は家に帰った。玄関に入るなり、桜島ナナは違和...