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第117章 私はあなたが本題に入るのを待っている

「桜島さん」

ホテルの社長秘書は彼女を見かけると、自然に挨拶をした。

少しも驚いた様子はない。

桜島ナナはただ礼儀正しく頷くしかなかった。

ドアを間違えたのだろうか?

ここはなんとオフィスだった。

藤原夜はデスクの向こう側に座り、彼女がバスローブ姿で出てくるのを見て、淡々と尋ねた。「寝室のテーブルに箱が置いてあったが、見なかったか?」

「……」

見ていない。

彼女はただ服を探そうとしていただけだった。

「あの中に君の服がある」

藤原夜は彼女の姿を一瞥し、平然と手元の書類に目を戻した。

「はい」

彼女は返事をして、す...