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第113章 今はどうして礼儀を気にしないのか

「この部屋は定期的に専門の人が清掃と消毒をしているはずですが、なぜゴキブリがいるのでしょうか?」

藤原夜が言った。

「……」

桜島ナナは木のような表情で彼を見つめ、突然何も反応できなくなった。

彼は自分をからかっているのか?

今の?

桜島ナナは急に怒りがこみ上げ、降りようとしたが、彼にしっかりと抱きとめられていた。

「離して」

「……」

まだ怒っている?

さっき彼女が転びそうになったとき、彼が急いで抱きとめたというのに。

一言のお礼も言わないつもりか?

最初は彼に対して「ありがとう」を連発していたのに、今はどうして礼儀を...