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第106章 彼女を最上階の部屋に連れて行く

その個室のドアが開いて三秒と経たないうちに、中は突然静まり返った。

すぐに皆が次々と立ち上がった。

桜島ナナと青木絵里は一番端に座っていて、青木絵里はナナの胸元で「ナナ、キスってどんな感じなの?」と小声で尋ねていた。

桜島ナナの頭の中はさっと白くなり、ふと目を上げた。

薄暗い灯りの中、彼女はドアに立つあの見慣れたシルエットを見つけた。

実は先ほど青木絵里の言葉が出る前、彼女は家を探すことについて考えていたのだ。

だが青木絵里に中断され、そして遠くに立つあの人によってさらに思考は途切れた。

藤原夜は何も言わず、ただそこに立って彼女を見つめていた。

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