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第27章

佐藤橋は本来なら田中健太と階下で別れるつもりだったのに、田中健太が部屋に上がって一休みしたいと言い張った。

「もう十一時だし、寝るところだったのに」佐藤橋は不承不承に階段を上りながら言った。「それに部屋、結構散らかってるし」

「水一杯飲んだらすぐ帰るから」田中健太は哀れっぽい顔をして言った。「ほら、わたし今日一日中運転してて、股関節が痛くなってきたんだ。せめて少し休ませてよ」

佐藤橋は仕方なく、田中健太に三分間だけ外で待っていてほしいと要求した。彼女が先に入って急いで片付けるためだ。

田中健太は慌てて頷いて了承した。

ドアが開くと、佐藤橋はさっと先に入り、瞬く間にコマのように動き回...