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第19章

佐藤橋は中村本に窓のカーテンの後ろに押しやられ、カメラは素早く位置を調整し、隠れた角度から撮影を続けていた。

「次男坊……」佐藤橋はそれだけ言うと、もう話せなくなった。中村本が後ろから彼女のパーマをかけた髪を掴んだからだ。佐藤橋は一瞬痛みを感じ、顔を上げると、雪のように白い首筋が露わになった。

「ここならいい、誰にも見られない」中村本は笑った。留学帰りの軍閥の次男という設定で、彼の服装も洋風だった。ただ、きちんとしているのはスーツだけで、蝶ネクタイはどこかに投げ捨てられ、シャツの裾も半分はズボンから引き出されていた。佐藤橋はこれが演出だとわかっていても、中村本本人の雰囲気とは相容れないこ...